ひと口頬張れば
豊かな自然に囲まれた農園の景色と優しいWABARAの香りが広がるお菓子たち
#1 WABARAのパンケーキ
Pancakes with WABARA petals syrup
WABARAの花びらをイメージして薄い生地のパンケーキをたくさん重ねました。マスカルポーネをのせ、たっぷりの和ばらを使用したWABARAのはなびらシロップをかけてお召し上がりください。
スイスはフランス語圏の街ジュネーヴで暮らしていた時に、仲の良かった友人スザンヌは数字の上では七十代という年齢だったけれど「24の頃から、わたしって何も変わらないの」とよく言った。たしかにひと度会うなら昼間から会ったとしても「まだ、もう少し遊びたいのよ...付き合ってくれる?」と、陽が沈んでも本当に二十代の娘のままのエネルギーでわたしを連れまわした。その頃のわたしは、スイスへ渡ったばかりで仕事もなく、どんな小さな事でも何かを探すことに必死だったので、いつでも喜んでスザンヌに同行した。そうして誘われればいつでも着いて行くから「Tomoka、本当に大好きよ!」と喜んで、わたしと腕組みしながら湖畔や街を喋って歩きまわって、少しお酒を飲んで、食事をした。
▲スイスは日本より緯度が高いので春分の日で日没は19時頃(夏至では21時半頃)
スザンヌは四六時中おしゃべりをするけれど、若い頃に何があったか詳しいことは話さない。幸せなことも大変な目に遭ったこともあって、人生のさまざまなドラマを乗り越えて来たいうのは、所々の話から感じられたし、言語もままならない異邦人で歳の離れたわたしを大切な友人として扱ってくれるという点で、人としての器や優しさは十分に伝わって来たからわたしも特に尋ねることはなかった。さまざまな経験があって、今のスザンヌなのだ。幼い頃は、イギリス、スイスで育ったそうだけど、寒いのは大の苦手で「スイスでは、夏にしか会えないわ」そう言って、冬はスペインの島やブラジルへ旅立つ。語学が好きで堪能だから、それを活かして英語やフランス語の教師のボランティアをして毎年過ごすそうだ。スザンヌは、ブラジルで食べたという日本のお好み焼きが大好きだった。あの日本語の名前はなかなか覚えられないと言い、いつもお好み焼きのことを『キャベツのパンケーキ』と呼んで、会えばわたしに作って欲しいとねだった。日本語のお好み焼きには、好きなものを入れて焼くという素敵な意味の名前があると説明したけど、わたしもパンケーキという響きに魅了されて、そう呼ぶことも多かった。スザンヌのおかげで、これから他の場所でもお好み焼きをそのように翻訳できると発見し、そしてよく知らない食材も最初はパンケーキにしてみると美味しいかもしれないとも思った。
いつも口癖のようにスザンヌから言われたことは、Don’t think,Just do it. だった。「ブラジルでキャベツのパンケーキが、一体何なのか最初は分からなかったけれど、せっかく作ってくれたからひと口食べてみたの。そうしたら、驚くほど美味しかったの。あんなに嬉しい想定外はないわね。」スザンヌのそんな思い出の味が、慣れない土地で暮らそうとするわたしの勇気になり、ジュネーヴでの新しい生活を切り拓いてくれたことに今でも本当に感謝している。
スザンヌへ
日本の滋賀県という場所には、レマン湖のように美しい琵琶湖という湖があります。その湖畔で大切に育てられたWABARAの花びらシロップのためのパンケーキを作ってみました。このシロップには収穫してすぐに農園で煮詰められた和ばらがたっぷりと入っていて、和ばら農園のフレッシュな空気がそのまま詰まっています。ひとつの瓶には10輪以上の和ばらが使われているそう!日本語の和という言葉は「調和、和み」という意味だと昔、話したことがあるわね?このパンケーキと一緒にそれを思い出してくれると嬉しいです。また夏には一緒に湖へ飛び込んで泳ぎたいわね。
WABARAのパンケーキ
■材料(直径約15cmのパンケーキ6枚分)
WABARAはなびらシロップ
薄力粉80g
牛乳80g
卵2個(卵白と卵黄に分ける)
スキムミルク 大さじ1(なくてもOK)
きび糖15g
塩 ひとつまみ
バニラビーンズ(バニラの房5cm分程)or バニラエッセンス数滴
マスカルポーネ(なければホイップしたクリーム)
■あると便利な道具や器
テフロン加工された小さめのフライパンと、それに合う蓋orホットプレート(一度に何枚も焼けるので調理時間を短縮できます)
電動ハンドミキサー
■作り方
1. ボウルに小麦粉をふるって入れる。そこへ卵黄、房から取り出したバニラビーンズ、スキムミルク、牛乳を加えて泡立て器でよく混ぜる。液体が小麦粉によく馴染むように20分置いておく(A)
2. メレンゲを作るために別のボウルに(ボウルは汚れや水分がないように)卵白と塩をひとつまみ加え、電動ハンドミキサーで混ぜる。白くなったら砂糖を加え、メレンゲのツノがしっかり立つまで混ぜる(B)
*ボウルに油分汚れや水分があるとメレンゲが上手に作れないので気を付けます。塩を最初に少し加えることにより、卵白のこしが切れやすくなり泡立ちがよくなります。
3. (A)と(B)をよく混ぜ合わせる。
4. フライパンorホットプレートを弱火で温める。
*テフロン加工してある鉄板ならなら、油をひかずに焼くことができます。焼きむらが出ないパンケーキになります。
温まった鉄板に生地をひいたら、蓋をして約3分蒸し焼きにする。火が強すぎるかな、と思った時は、時々火からフライパンを離して、濡れ布巾の上に置くなどして調整してみてください。
5. パンケーキの生地にぽつぽつと気泡が出ていることを確認したら、ひっくり返し、また蓋をして、3分ほど焼く。これを6枚作る。
焼きあがったパンケーキを重ね、マスカルポーネとWABARAの花びらシロップをお好みの量で添えて召し上がってください。
*6枚も焼くのが面倒な方は、3枚で焼いてもOKです。その場合の焼き時間は+1分ずつしてください。
*牛乳は植物性のものに、薄力粉は米粉に替えて作ることもできます。
*シロップをかけることを前提にしているので、生地に入れる砂糖は控えめにしてあります。
WABARAの花びらシロップは色や香りを大切にするためにきび糖とグラニュー糖のシロップに花びらの香りをうつして作られています。
スプーンでひと匙すくって舐めてみるだけでも柔らかい甘さと優しい香りに溢れ、それはまるで花束を贈られたような気持ちに。皆さんにもWABARAの優しい香りが口いっぱいに広がりますように!
これはサレーヴ山から眺めたジュネーヴの街を含むレマン湖畔の景色です。初めて目にした時、琵琶湖の景色と重なりました。皆さんはどうですか?
- Tomoka
■レシピ監修
中村友香 Tomoka NAKAMURA
京都市内にてPensées(パンセ)という名をかがけて、
料理を通して旅に出るCooking Travelをテーマに料理会を主宰
ドイツ(ミュンヘン)、スイス(ジュネーヴ)での生活を経て
現在、老若ジェンダー民族国籍を越えて集えるような料理を提案しています
Instagram @penseestomoka